心ではそう思っているのに。
「京也、できたよ」
「おぅ、さんきゅ…」
この小さな姫を見ると、そんな想いはどっかに行っちまう。
触れれば壊れそうなくらい細ぇ体で、どれだけたくさんのものを抱えてる?
咲誇、お前の心は……壊れそうなんだろ?
たくさん悩んで、泣きたくて。
でも、迷惑かけたくないって、俺の前では笑って。
健気すぎて……ほんと、泣けてくる。
俺は、こんなにもお前が好きなのに。
お前はいつも、見えないアイツを俺の影に見ているんだろ?
王蘭でお前と歩を助けたあの時、笑った俺に対してお前は言ったよな。
『──蓮央』
……って。
お前には、俺が南蓮央に見えるのか?
それならそれでいい。
俺のそばにいてくれる理由がそれだけだとしても……俺は、お前が好きだから。
初めて手に入れたいと思った人だから。
だからきっと、沙奈も諦められないんだ。
親に追い出され、世間から見放され。
2人だけで生きてきた俺と沙奈。
物欲なんて全くなかった。
ただ、No,1になって世間を見返す。
それだけを目指してたんだ。
でも……他に欲しいものができた。
こんなこと言ったら沙奈に怒られるかもしれねぇけど……
No,1の夢を捨てでも…………
咲誇が、欲しいんだ。


