これまで、たくさん嫉妬はしてきた。


通りすがりに咲誇を見る男、プールで咲誇をナンパした男。


咲誇をそんな目で見るな。


こいつは軽い女じゃない。


そう思うくらいの嫉妬だった。



……でも、今回は違う。


相手は通りすがりの男でも、ナンパ男でもない。


本気で咲誇に惚れた男。


そいつが咲誇を見る眼差しは熱を帯びていて。


嫌でも、本気ってことに気付かされた。



「……なんか、違うんだよ」


「何が違うんだ?」



圭太が聞き返してくる。


何がって聞かれても……な。


説明のしようがない。



「……あいつと咲誇、話さないで欲しい。あの男がもっと咲誇に惚れたらどうする?なんか……モヤモヤするんだ」


「京也に、本気で嫉妬してるんだな」



本気で嫉妬……か。


確かにそうかもしれない。


今までこんなにモヤモヤしたことはない。


こんなに手放したくないと思ったことはない。