《蓮央side》




バタン、と倉庫のドアがしまった。


間もなく、ブォォォンというバイクの音が遠ざかっていった。



「……蓮央」



ため息混じりに、圭太が俺の肩に手を置く。



「なんであんなこと言った?泣いてたぞ」


「……分かんねぇ。無性にイラついたから」



咲誇があの男……京也とかいう奴と仲良さげに話していたのが気に食わない。


俺の知らないところで会って話していたのが気に食わない。


それを話してくれなかった咲誇も気に食わない。


あんなことを言った俺も、気に食わない。


何もかもが気に食わない。



「ただの嫉妬だろ。そんなんで泣かせてんじゃねぇ」



圭太はそう言うけれど……『ただの嫉妬』じゃない気がする。