バタンと、ドアが閉まる音が虚しく響く。



「ねぇ京也、この子連れてくの?」


「自分の家があるなら別だけど……アイツと行き帰り一緒だから、同棲してんだろ?」



京也も、かなり洞察力が高い。


頷くと、京也は私を沙奈のバイクに乗せた。



「沙奈、乗せてやってくれ」


「京也の頼みならしかたないな〜」



沙奈が私の前に乗り、京也に続いて発進させた。



「……ねぇ、アンタ」



数分走ったところで、沙奈に話しかけられる。



「蓮央くんと喧嘩したからってあたしが同情するとか思わないでね?」


「え……」


「これ、チャンスって思ってるから」



沙奈の言葉に、何も言えなくなる。


沙奈も……本当に蓮央のことが好きだから。


蓮央を取らないでとか、そんなことは今の私には言えない。



「っう……」



沙奈のTシャツを握りながら、私は見られないように泣いていた。