その日の放課後、学校に迎えに来てくれた蓮央と共にいつもの倉庫に向かっている。



「咲誇、なんか歩がすげぇイラついてたけど何かあったのか?」


「え?」



歩、怒ってるの?


やっぱりあれかな、喧嘩に負けたし……京也に助けられたし。



「多分、喧嘩に負けたからだと思うよ」


「歩が負けたのか?珍しいな」


「すっごい大男だったからね」


「そうか……。咲誇は大丈夫か?」


「うん、平気」



「京也が助けてくれたから」と言おうとしたとき。



「さっきー、蓮央!」



後ろから諒真さんの声がし、振り返る。


奈緒を後ろに乗せた諒真さんが、こちらに手を振っていた。