黒ぶち眼鏡の奥から、優しく優しく笑う彼。



「結羽ちゃんは俺の、一番かわいい、自慢の後輩だよ」






もう……そう言ってくれただけで満足だ。




「ありがとう、ございます……!」



少しうるんでしまった目を隠すように、せいいっぱいの笑顔で。


笑ってみると不思議と違和感もなく、むしろすがすがしい気分になった。


すぅっと、何か不純なものが溶けていくように。



わたしと篠田先輩との関係は……"いい先輩後輩"関係で、わたしが篠田先輩に抱く感情は、先輩として、人間としての"尊敬"や"羨望"だ。



「楓さんと……仲良く、お幸せに」



無理をしていたわけではないし、皮肉でもない。


素直に言えた。



あんなお似合いの二人、他にいるわけがない。