先輩に対するどきどきも、ただの憧れと暗示。
それに気づかないふりをしていた。
……木林くんは気づいてたっていうのに。
だから最後には、きちんと終わらせたかったの。
見よう見まねみたいな恋愛だったけれど、
恋愛がしたいっていう気持ちは。
篠田先輩が、ただ純粋に好きだっていう気持ちは。
本物だったから。
切ない表情でわたしを見る先輩に笑いかける。
自己満足なことして、困らせてごめんなさい、先輩。
「……結羽ちゃん、ありがとう」
少しうつむいて言ってくれた篠田先輩。
そして顔を上げ、笑って言ってくれた。
