甘々王子にユウワクされて。



「ごめん、ありがとう!」



冷たく言い放ったつもりだったのに、ぱぁっと顔を輝かせて頭を上げる彼。


なんだかもう……やりにくいなぁ。




「まぁ任せて、結羽は俺が守るから」




そう言って、ぽんとわたしの頭に手を置いて、何もなかったかのように教室に入っていく彼。


さっき女の子の手を掴んでいた時の荒々しさとはかけ離れた、優しい手つき。



「……っ」


顔が熱を帯びていくのが自分でもわかって、そのこと自体が恥ずかしい。



「どうした、教室入れよ」



5限目の先生が歩いてきて、廊下に一人立っているわたしに不思議そうな声をかける。


すみません、と軽く謝って、熱を治すこともできないまま席まで走って行った。



左隣の高槻くんが、複雑な顔でわたしを見ていた。



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