甘々王子にユウワクされて。




「ゆ……侑心くん」



女の子たちは完ぺきに怯えきっている。


手を口元にあてちゃったりして、なんともかわいらしくなって。




「ち、がうのこれは、佐久間さんが……!」



坂場さんがわたしにまっすぐ指を突き刺してくる。


わ、わたしが悪いの? これ?



だけどその手を、さっきまでわたしを掴んでいたその手を。


包んでしまうように彼の大きな手が握り締めた。




「……何が違うって?」




そう彼女にささやいた。


その顔はこちら側からは見れなかったけれど、彼女の赤かった顔が一瞬で青くなるほど……怖いものだったのだと思う。



「ご、ごめんなさいっ!」



彼女たちはスカートを翻して教室に逃げ戻って行った。