そしてわたしは、あることを思い出した。



「……わたし、侑心くんに言いたいことがあったんです」


「……言いたいこと?」



不思議そうに聞き返す彼に深く頷く。


彼にとってはどうでもいいことかもしれないけれど……言いたかったこと。




「いつか侑心くんは話してくれました。自分は世界に通用するバスケット選手になると。そのためにも、英語を克服しなければならないと」


「あぁ……したね、懐かしい」



一番最初に英語を教えたテスト週間。


中学英語に苦戦しながら夢を語った彼。



「そのころわたしには夢や目標がありませんでした。
 何になりたい、なんてものはなくて。
 だからいい成績をとっても喜べず、悪い成績をとっても悲しめなかった」



……でも。