そして廊下でしばらく待っていたら、侑心くんと楓さんが出てきた。



「お待たせ。あとは家族と、晃斗と過ごさせてあげようかと思って出てきた」


「え、いいんですか? 侑心くんもう少し……」



久しぶりに会ったのに、と思ったけれど、それも簡単に制された。



「大丈夫。もう十分に話したし、これからはいつでも話したいときに話せるから」


「……それもそうですね」




きっとこの2年半、3人の心にはわたしには考えられないほど黒くて重いものがあったに違いない。


だけど、ゆうひさんの目が覚めることでそれも溶けただろう。


……今までで見たことのないほどいい笑顔してるんだもん、ふたりとも。



……きっと、高槻くんも同じだよね。