このままだと心臓が壊れてしまいそうで、離してほしくて木林くんを見つめたけれど、彼はいたずらっぽく笑うだけ。



「ごめん。そんな表情されると、かわいすぎて余計離せないかも」


「な……ッ、さっきからかわいいかわいい言いすぎじゃないですか!?」


「事実だから仕方なくない？」



どうやらこの人は、目と頭がおかしみたい。


わたしはあきらめて深いため息をついた。



「あれ？　俺の事嫌いになった？」



それを見てまた意地悪く聞いてくる木林くん。


……もうだめだ、敵わないんだこの人には。




「……嫌いになんて、どうやったらなれるのかむしろ教えてほしいです」



わたしはほんの少しだけ木林くんの手を引っ張って、彼の隣を歩き続けた。



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