「ありがとうございます、木林くん」
お礼を言うと同時に、少しほっとしていた。
よかった、置いていかれたりしなくて。
「いや、俺のほうこそごめんね。
……ありがとう、好きって言ってくれて」
そう言って彼はわたしの手を離すと、また今度は開いた手をこちらに差し出してきた。
疑問に思ってわたしも手を開くと、その手をまた半ば強引に引かれる。
だけど今度は、指と指を絡めて。
彼のしなやかだけど長くて少しごつごつした指がわたしの指の間に入り込んでくる。
「き、木林く……!?」
はじめての感触に戸惑ってしまう。
どくん、とさっきよりも大きく心臓がはねた。