甘々王子にユウワクされて。



顔を赤くしたわたしのそんな言葉を聞いて、木林くんは一瞬驚いた顔をした。


そしてすぐに、青になった信号に反応してひとりで歩いて行ってしまう。



「あ、待……っ」



やっぱり伝わらなかったんだ。


わたしは恋愛が下手だから。


恋愛に慣れていそうな木林くんには……つまらなく思わせてしまうに違いない。



そう思って、少しうつむいた瞬間。




「……そういうかわいいこと言うのヤメテ」




少し強引に引かれる右手。


わたしのすぐ後ろを通った左折車。


あ……少し危なかったのかも。