「……今日病院から連絡があった。ゆうが、初めて聞き取れる言葉を話したらしい」
低い声が部屋に響く。
わたしと触れていた木林くんの身体が一瞬で硬くなったように感じた。
「呻くようなのは何度もあったけれど……看護師の人が聞き取れたのは初めてらしい。
脳波が最近かなり安定しているという話も春ごろ聞いたから……もしかするかもしれない、と先生が言ってた」
「もしかするかも……って、つまり、」
いつのまにかわたしの心拍数も早くなっていた。
植物状態の人が目を覚ました、なんていうニュースもちらほら耳にする。
ゆうひさんだって……目を覚ますかもしれない。
「今日、喋ったって連絡だけ受けて思わず学校を飛び出したけど……やっぱり会うことなんかできなかった。病室の前で先生と話してた」
……さっき木林くんが言ってた通りだったんだ。
だけど高槻くんは、振り返って明るめの声で言った。

