聞こえてしまったからこそ。
中学時代の彼の痛みがわかった気がして。
その痛みが気がついたらわたしの胸にも移っていて。
……気がついたら言っていた。
「……わたし、木林くんのことが好きです」
自然に言葉に出来た。
自分でも驚くくらい。
たぶんわたしは知ってたんだろうな。
本当は、木林くんのことが好きなんだって。
生まれて初めて……本当の恋を教えてくれたのは、木林くんなんだって。
ふと頬に違和感を感じると、そこにはまた温かいモノが伝っていた。
「……今日、涙腺ゆるいですねわたし」
そう笑って、指にのった涙を見せてみる。
滅多に泣いたりしないのに、どうしてしまったのだろう。

