「仕方、ねぇだろ……」
下を向いてしまったせいで顔の隠れた高槻くんが苦し気な声を出す。
その手は血管が浮き出るほどに強く握られていた。
「忘れ方が、わからねぇ……。どうしても、何をしてても、俺の中にゆうがいるから。俺はたとえ夢でいいから、俺を憎んでてもいいから、……ゆうに会いたい」
心臓を握られるように切実な想い。
ゆうひさんは……なんてしあわせなんだろう。
こんなにもまっすぐに人を愛せる人なんていない。
不謹慎にもそう思ってしまった。
「お前なぁ……ばかなの?」
……しかしさらに不謹慎なのがここにいた。
ばかなのって……そんな事言うか今!?
ばかなの!?

