甘々王子にユウワクされて。



「あぁはいはい、ごめんね!
 じゃあ俺ら7時半まで部活やってるから、気が向いたら見に来て!」


「な……っ行きませんよ!」



そう言い残して、手を振って出て行ったしまうまさん。


どうしてわたしが見に行かなくちゃならないの。




はぁ、とため息をついてまた鉛筆を走らせる。


紙と鉛筆のこすれる音がわたしは好き。


他には本のページをめくる音とか。


心地いい静けさが満ちる空間が好き。



シャッシャッと鉛筆の音だけが響く静かな教室。


……一瞬だけ訪れた嵐のような彼。



彼はわたしの好きな空間を壊して、勝手に帰って行った。



……彼のせいで、なんとなくこの静寂が

さみしいものだと少し思ってしまった。




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