「そこであたしはね。フィーリングカップルやりたいと思ったの」



……フィーリングカップル?


その言葉に正直ぴんとこなかったわたし。



「リボンとかがよくあるけどね。あらかじめ全校生徒に配布しておくの。色とかがらとかがいろいろあるリボンを。
 そしてその中で、たった一人自分と同じリボンを持った人がいるから、その人が運命の相手。

 あたしが考えたのはね、1日目の中夜祭で、それをやろうかと思って。
 リボンの交換は一切禁止。1日目文化祭中に頑張って運命の相手を探して、中夜祭までにペアになれたら何かしらの特典をつければいい。そしてできたペアは中夜祭をふたりで過ごすの。それで友達になったり、カップルが成立したりすれば、後夜祭も盛り上がる!

 実は先生から、中夜祭の参加人数の少なさをなんとかしろって言われてて。中夜祭と後夜祭は参加は希望制だから、やっぱりぱっとしない中夜祭は人が少なかったみたい」



楓さんが、みんなの目を見るようにしながら説明する。


わたしは一人、素敵だなと思っていた。



きっとカップルもできるだろう。


そうすれば後夜祭でも楽しめる人が増えるはず。



みんなもそう思ったのか、明るい表情でまわりと話している。


楓さんも前で安心したような顔をしていた。