「そうだ、お前明日のオーディション受けるか?」
「オーディション……?」
「知らねぇのか?明日部内のオーディションだぞ。文化祭の。」

すっかり忘れていた。
そうか、もう文化祭なんだ。
てことは、先輩はもう引退だ。

「今のお前なら余裕で行けると思うんだよ。参加人数すくねぇから飛び入り参加オッケーにしてあるし、どうだ?でるか?」

本当に、いけるだろうか。先輩の前で歌うみたいに、歌えるだろうか。
少しだけでも表舞台に、立ってもいいだろうか……。

「…………でます。」
「言ったな?」
「…はい。」
「よし。」

歌はすぐに決まった。ずっと歌いたかった曲があったから。
ギターの方は完璧だった。後は歌。
弾き歌いは出来る。
後は自信を持って、歌うだけ。