「普段だったら、僕が拒否したのなら素直に諦めるじゃないですか。

何故今日に限って、そんなに諦めが悪いのです?

僕と桐生星太郎を会せることによって、キミに何のメリットがあるのですか?」





目的、メリットがなくちゃ、こんな手錠を取り出すまでしない。

僕があの男と会うことによって、彼女に何らかのメリットがなくては。






…もしかして。

僕の頭の中に、1つの仮説が浮かびました。






僕と桐生星太郎の関係に、彼女が気づいているのではないかと言う、
恐ろしい仮説です。



思えば彼女の両親、次郎さんと芽衣子さんは知っています。

一目見た瞬間から、僕が桐生星太郎の息子だと気がついていました。

彼女が気がついていても、可笑しくありません。







「キミは―――」





知っているのですか?

僕と桐生星太郎が親子だってことに。






「だって面白いじゃない?
同じ桐生って名字の、お父さんと息子って感じに年齢が離れているふたりが揃うのって」






…どうやら彼女は、本当に馬鹿でアホのようです。