右手首だけにつけられた、黒光りする手錠。
もう片方の穴は、彼女の左手首にはめられていました。
「正気だよ」
「正気の奴がこんなもの常備してるかよ!?」
「前にね、盗聴器とかネットで調べた時、買ったものなの。
良く出来てるでしょ?」
「いつか俺を監禁するような真似するなよ?」
犯罪に走ってしまいそうで、怖いです。
「これで一緒だね?セイくん」
「それ、この状態で聞くと、お前がヤンデレに見えてくるんだが…」
「セイくんのためなら、ヤンデレになっても良いかな」
「なるな。絶対になるな。犯罪犯すな」
僕は1つ咳払いをして、改めて状況を確認します。
…しかし、何度見ても右手首につけられた手錠は、嘘ではありません。
「一緒に行こう?ね?」
「…キミの目的は何ですか?」
「目的?」
キョトンと首を傾げる彼女に、僕は尋ねます。