僕が自分より背の低い彼女を見ると。
彼女は「マズい」と言う感じで口元を両手で覆いました。
「……前園、さん?」
「ごめん…聞くつもり、なかったんだ」
「…………」
「聞いたんでしょ?
ママから、全部。あたしのこと」
「…聞いていたんですか?」
「うん…。
パパが部屋に来たってことは、
リビングにママとふたりきりじゃない?
何話しているんだろって気になって、
トイレ行くってパパに言ってリビングに行ったの。
そうしたらママが桐生くんのことセイヤくんって呼んでいるのが聞こえて…。
その後、ママがあたしの中学生の頃聞いていて…」
「…聞いたのは、そこだけですか?」
「うん」
どうやら僕が、
桐生星太郎の息子だってことはバレていないようです。
「……あたし、弱いよね?」
立ち止まった彼女が、弱々しい笑顔を浮かべながら笑いました。


