「お嬢さんこそ、一体どちら様ですか?」
「教える義務はないわ。
あなたが何者か教えるまで、あたしも教えないわ」
「…もしかして、桐生星夜のストーカーですか?」
「ストーカーじゃないわ。
ストーカーはあなたでしょう?」
「わたくしはストーカーではありません。
お嬢さんが立派なストーカーでしょう」
「あたしはストーカーじゃないわ」
「最近耳にする機会が多いですよ。
お嬢さんぐらいの年齢の方が好きな人をストーカーすると。
振り向いてもらえないからと言って、星夜さんに手を出さないでいただけますか」
「それはこっちの台詞よ」
「わたくしがストーカーするとでも?
わたくしはもう年が年ですよ」
「最近はおじさんみたいな高齢者ストーカーも増えているのよ」
「そもそも、わたくしも星夜さんも男ですよ?」
「同性愛も世の中に存在するわ」
…良い加減、引きなさいよ、このおじさん。
ストーカーってのはわかっているんだから。
「…引かないの?
じゃあ、しょうがないわね。
警察に連絡して、来てもらうわ」
「じゃあわたくしも連絡するといたしましょう。
お嬢さんはストーカーみたいですから」
「ストーカーじゃないって言ってんでしょう?」
「わたくしこそストーカーではありません」
「おじさんがストーカーよ」
「お嬢さんがストーカーですよ」
セイくんの家の前で、あたしは見知らぬおじさんと言い合った。


