「そういえば、気になってたんだけど」




ベンチに僕は、彼女と並んで座ります。

勿論ポケットから眼鏡を出して。

…かけている方が、やっぱり良いですね。

たまに鬱陶しくなって外してしまいますが、かけないと何も見えませんから。





「おじちゃん、多分、セイくんのこと、そこまで嫌いじゃないと思う」


「……は?」


「確かに言い方とかは冷たかったけど…。
言っていること全部、セイくんを心配していることが多かった気がするんだ」





僕は思い出したくない、あの男との会話を思い出します。







『彼女と、上手くやっているのか?』


『……関係ないでしょう』


『愛ちゃんに迷惑かけるなよ』


『……放っておいてもらえますか』


『この家に来る時は、ちゃんと行儀良くしろよ』






…確かに、全て疑問系です。

心配している、と言って良いのかは、わかりませんけど。