「……あたしは、わかるよ、セイくんの、こと……」
ふっと聞こえた、声。
俺は両目に置いていた両腕を離して、目の前に立つ、彼女を見つめた。
「……前園、さん……ッ!?」
「あたしはわかるよ、セイくんのこと」
息を切らしながら、言葉を繋げる彼女。
俺は信じられなかった。
目の前に、彼女がいることに。
「何で……」
「あたしはわかるよ、セイくんのこと」
「どうして……」
「セイくんは、お父さんと仲直りしたがっているってこと、あたしはわかっているよ」
「……んなこと…思うわけ…ないじゃないですか…」
「本当は、追いかけてほしかったんでしょう?
あたしじゃなくて、お父さんに」
「違いますよ…」
「違わないよ。
あたしは知っているよ。
人と関わりたくないセイくんが、本当は誰よりも、人と関わりたいって思っているの。
傍にいた、あたしは、わかっているよ」
汗のじんわりにじむ笑顔で、彼女は眩しいほど笑いました。
今はもう見えない、太陽のように。


