『ねぇパパ。
どうして俺は、他の子と一緒に遊んじゃ駄目なの?』
『……星夜。
言葉遣いがなっていない。
自分のことは“僕”と言いなさい。
それか、“わたし”と言いなさい。
敬語を使うよう、いつも言っているだろう。
わたしのことは、お父様と呼ぶようとも、言っているだろう』
『…ごめんなさい、お父様。
だけど…僕……』
『お前はわたしの言う通りに過ごしていれば良いんだ。
何も口出ししないで良い。
その方が、きっとお母様も喜ぶだろう?』
母は、俺にいなかった。
俺を産んで間もなく、亡くなったと聞いた。
それからはずっと、あの男と宮口が俺を育ててきた。
だけど。
あの教育は、間違っている。
勉強は確かに大事だと思う。
今の高校で努力もせずああやって1位を取れるのは、
幼い頃勉強し続けてきた結果。
でも、勉強と言う名の鎖で、俺を縛るのは間違っている。
俺はあの日、あの男にそう訴えた。
“僕”も敬語も、全て忘れて。
『……そんなに不満なら、出て行け。
もうお前には、期待していない』
その言葉を最後に、俺の中で“何か”が、切れた。
俺はあの男の持っていた通帳を勝手に奪い、
最低限の荷物をまとめて、
家を飛び出した。


