20時...
辺りは真っ暗。
夏なのにこの時間でこの暗さ!?
さすが山!
でも、空を見上げると雲ひとつない綺麗な星空。
多分もう怖くない。
変わるんだ。
今までの私とサヨナラしてやる!
頑張って歩くぞ!
先に進むんだ!
見ててね!お星様!
......。
「..........お星様、誰か優しい人が助けてくれますように...」
流れ星はないけれど星空に祈ってみる。
やっぱり無理だ。
怖い!
不安!
お腹空いた!
鳴き喚くお腹を押さえながらとぼとぼ歩く。
「あっ!」
前方から光が!!
車だ!!
気付いて!!
そんな願い空しく通り過ぎる車。
かっこいいスポーツカー。
「...やっぱムリかぁ」
呟くと同時に車が止まる。
ドアが開き、誰か降りてくる。
スラッとした長身の女性?
顔は見えないけど頭の左上で髪を結んであるのは分かる。
ああ...お星様っ!!
ありがとう!!
「ねぇ!」
その人が叫んだ。
ハスキーボイス。
素敵な声。
「はい!」
思わず背筋が伸びる。
「どこに行くの?」
「1人旅をしてて迷子になってしまって...」
恥ずかしい。
この歳になって迷子って...
「...行くあてはあるの?」
「ないです..........」
「じゃあ、とりあえずうち来る?」