チョコレート







『マナ、帰ろう』

いつもと同じように言う彼

違ったのはあたしだった


『ううん。帰らないよ』

いつもは、帰ろっか、そう言って手を繋ぐ

だけど今日は違う



『え?何言ってるの?』

『あなたこそ、何を言ってるの?』


戸惑う彼と冷静なあたし



『あなたは好きでもない相手を誘うの?

手を繋いで一緒に帰ろうとするの?

他愛のない会話で笑い合うの?

好きでもないのに愛を囁くの?』


彼に向かって真顔で問いかける


『マナ?どうしたの?何かあった?』

未だに戸惑う彼


『どうしてあたし達は一緒に帰るの?』

そんな彼に質問を変えて問いかける


『どうしてって付き合ってるからに決まってるでしょ?』

戸惑いながらもそう答える彼


『あれ?あたし達付き合ってるの?

あなたは私を好きじゃないのに?

両想いじゃないのに付き合いって成立するの?

付き合ってても他の人に愛を囁くの?

あなた、頭おかしいの?』


また、彼に向かってまくし立てる