君と2人

それから薫先輩と別れて家への道のりをのんびり歩く。

夜の道が好きだった。
切れかけた電球のついた街灯、車が走っていなくても変わる信号、何が起こるかわからない暗さ。
そんな中を歩いていると朝と同じ道だと思えなくなってくる時がある。


(早く帰ろう。)

まだ日は長くて、私の好きな暗さじゃない。


ふと空を見上げると明るさと暗さの混ざった中途半端な色をしていた。

不覚にも綺麗だと思う。


(中途半端なものこそ綺麗。)


何にも染まらない黒と無限の可能性の白。
間の灰色がとても綺麗なものだと思う。


(誰だっけ。)

そんなことを言っていたのは私ではなく、誰か。
思い出せないけれど、大切な人なのだろうと何故か思う。

(薫先輩と話すと何かを思い出せそうな気がする。)


忘れてしまった、忘れてはいけない思い出。


そんな気がするのと同時にそんなものがあるのかと疑う。

(わっかんないなぁ。)


もしかしたらただの勘違いなのかも知れない。
私の思い過ごしなのかも知れないと。

誰かにそう言って欲しかった。



(なんか、ダメだな。)

気分が落ちている。

明るいことを考えて払拭しよう。


そう、例えば‥‥。