君と2人

「僕じゃない、睦月が頑張ったからだよ。」

「‥‥ありがとうございます。」



薫先輩が満足そうに笑う。



「薫、遊佐と勉強会でもしたのか?」

「会というか‥‥。」


2人が話すのを眺めていると、伊織がクイと袖を引っ張った。


「あの、睦月…。」

「…あ、ごめんね伊織。この2人は演劇部の先輩方。」


「如月先輩と柚木澤先輩だっけ?」

「そうそう。」


…ん?



「名前、教えたっけ。」

「校内では有名な2人だからね。」


そうなのか。知らなかった。


「柚木澤先輩は王子役で人気で、如月先輩は毎回脚本選択がいい、って。」


薫先輩が王子役だってわかるんだ。
あんなメガネと前髪なのに。


「睦月も今度王子やるんだよね。演劇部ファンの子達の中の話題は最近ずっと睦月だよ。」


「へ、そうなの?」

「そうそう。」



六月の定期公演は元々新入部員歓迎会のようなものだったらしい。
今年は既に新入部員が何人か加入していて、普通に発表会になったのだとか。


(新入部員が主役なのは初めてだとか言われた気がする。)



「ヒロインは結城先輩でしょ?」

「うん。」

「結城先輩も人気あるんだよ。美人さんで頭もいいのに、気さくで優しいって。」


氷音も有名なんだ。


「…演劇部ってアイドルかなんかなの?」

「うーん、ちょっと違うけど。校内にファンクラブのある役者さんがいるくらいだから、アイドルみたいなものなんじゃないかな。」


「ファンクラブ?」


そんなものもあったのか。
知らずに入部してしまった。

もっとも私に出来るとは思えないから関係ないことだけれど。


「うん、ファンクラブ。部活的な感じらしいよ。」



その後私は伊織から第3者から見る演劇部について教えてもらった。




初めて聞く話が殆どで集中して聞いていたから、薫先輩がこっちを見ていることに気が付かなかった。