君と2人

「睦月!」

「薫先輩。」


図書館を利用するのは初めてではない。
しかしたどり着くのに迷ってしまった。

そんな私を想定してか、特別棟の入口まで薫先輩は出てきてくれた。

「迷った?」

「‥‥迷いました。」

「そうだと思った!」


子供のように先輩が笑うから、つい目を逸らしてしまった。


「睦月?」

「なんでもないです!」



今まできちんと見た事はなかったのだが、薫先輩はとても綺麗な顔立ちをしている。

シュッとした輪郭とか、それに似合わない大きな瞳とか、弧を描く薄い唇とか。

普段はメガネと厚い前髪で殆ど隠れてしまっているが。



私と会うときはいつもメガネも厚い前髪も無かった。


(私と会うときだけなんだよね‥‥。)


校舎から見えるグラウンドにいる薫先輩はいつもメガネだ。
移動教室ですれ違う時も、今朝下駄箱で会った時も、メガネに厚い前髪姿だった。


隠して居るのだろうか。
だとしたら、何の為に?


(先輩の外見なんて私には関係ない。)


先輩の外見がどうであれ、優しく穏やかな人なのだから。