「助けて。」





涙がこぼれた。


男の人たちが引っ張る力は弱まらない。




この街にきて精一杯守ってきた弱い心が悲鳴をあげる。


隠していた気持ちが出てくる。






「っう、っぁ。」





何もしなくていいから、私から何も奪わないでほしいの。




傷つきたくないだけなの。


ずっと自分で守ってきたのに、どうして男はこんなにあっさり壊していくの。




ぐちゃぐちゃに跡形もなく。






「泣くな、助けてやる。」




どこからか声が聞こえた。



いまさっき路地裏で会った男の人の声。

どこかが厳しいような声。けれど、力強くて優しい声だった。