「北原くんに理由を話してそうしたほうがいいよ」
「うん……」
「まあ、なつが北原くんを好きっていうなら協力するんだけど」
「美姫……?」
「例えばの話だって。言いにくかったらあたしも一緒にいくから」
「もう……」
言いにくいけどそのほうがいいのかもしれない。
傘を貸したのはほんの偶然で、それがなかったら同じクラスにでもならない限り知り合う機会はなかったと思う。
お昼を一緒に食べるのを断って、休み時間に廊下で会った時は軽く挨拶くらいにしてもらって。
話すなら早い方がいいから月曜日に話させてもらおう。
もしかしたら怒らせてしまうかもしれないけど、これ以上何かが起きたら我慢できる自信がない。
北原君がどうか分かってくれますように。
そう願うしか私にはできなかった。