こうやって私はここまで積み上げてきたものをすべて失った。



嫌がらせは受けるし、みんなには話を聞いてもらえないし。


私の居場所、なくなってしまった。



なんで私の話を聞いてくれないんだろ。



なんで私の方がずっと前から友達だったのに、仲間だったのに、美麗ばっかり優しくするんだろ。




美麗がかわいいから?



チョコクリームみたいな色のふわふわしたショートカットの髪の毛に、小さい顔。さくらんぼ色の潤った唇に、二重のぱっちりした瞳。えくぼのできるかわいらしい笑顔。



対して、私は目が隠れるほど伸ばした前髪に、下の方で簡単にまとめただけの長い黒髪。顔面も平々凡々。笑うことなんてめったにないし、かわいげのある反応もできない。



そりゃそうか。
よくよく考えてみれば、私がバイトをしている間、美麗はみんなと一緒にいたんだ。


いつだったか、倉庫に連れて行ってもらったって言っていた。



私、倉庫なんて行ったことない。
連れて行ってもらったことない。



気がつけば5人の中で私なんてちっぽけな存在で、美麗の存在が大きくなってしまったんだ。


5人の中での一番は美麗になっちゃったんだ。


もしかしたら、美麗を誘って初めて屋上に行ったあの時から、みんなの中の一番は…。




…なんで美麗なの?




なんで、なんで、と黒い感情がこみ上げてくる。


なんて汚い人間なんだろ、私って。


最低最悪だ。


それに、裏切ったって言われても仕方がないじゃないか。


だって私は…自分の意志じゃないにしても、私と彼らの仲間の証であったはずの“姫”という立ち位置を、自ら美麗に譲っているんだから。