5人の視線が私に向けられる。



私はどうするべき?



そんな3日前に少し関わっただけの人たちとお仲間ごっこだったとしても、関わるべきなのだろうか。



何が、正解なの。






「別にアンタのために言ってるわけじゃないから、聞き流してくれていいけど。僕はせっかく2週間のお試し期間があって、断わる権利もあるんだから、この案に乗ってみる価値はあるんじゃないかと思うけどね。」




「へぇ、ユウリいいこと言うねぇ。」




「ふんっ。別に僕は思ったこと言っただけだし。」







黒くて、暗い場所から誰かに引っ張ってほしいと思った。


『助けて』って言いたかった。


誰かに親しみをこめて、もう一度名前を呼ばれたいと思っていた。




それを、期限付きの、しかもお互いのことなんて全然知らない彼らに求めてもいいんだろうか。





「アンタには、選択肢があるんだよ。選択、間違わないといいね。」





2週間のお試し期間。


断わる権利もある。


確かに、ユウリくんの言う通りこの案に乗る価値はあるかもしれない。


行動して後悔するより、行動しなかったことで後悔するほうがよっぽど辛い思いをするんじゃない?


手を、引いてくれる人たちかもしれない?

その案に、すがってみても…いいかもしれない。

なにか、変わるかもしれない。

“なにか”はわからない、なにかが。






「…よろしく…お願いします。」




「ん…。歓迎、するよ。」


















こうして、私たちは奇妙な『2週間のお仲間ごっこ』を始めることになった。




彼らと関わることが、大きな分かれ道だったこと。



それに気づくのは、もっと先の話。