それなのに、いざはっきりと言葉にして言われると綺麗事が頭に浮かぶ。



私は頭に浮かんだその小さな綺麗事を振り払うと、『わかった。』という小さな返答を悠里くんに返した。


私の声が聞こえたかはわからない。

たぶん聞こえてないと思う。


それでも私は返事を返した。
それは私自身に言い聞かせるためでもあったんだと思う。



頭に浮かんだ綺麗事が、きっと正しいんだって、その疑問に感じたのが人として正解なんだってどこかではわかってる。



でも弱い私はそれを見てみぬふりをした。
気づかないふりをした。




残りの1週間、彼らと“良い関係”でいられるなら、それで良いんだって、そう自分に言い聞かせた。


それが今までどおり、私の“暗黙のルール”なんだから、って。