「先輩、煽ってますよね?」 「あ、煽る?」 とぼけないで、と視線で訴えられた気がした。 「時間は余裕がある、二人きりの密室、好きな人。」 「いきなり煽られて……俺って我慢しているほうですよね。」 流すように言ったけど、好きな人……。 その言葉をどのように捉えばいいのか分からず、頭の中が真っ白になる。 先輩として好きな人? 人として好きな人? それとも、恋愛的な意味で好きな人? 「っつ。」 勢いよく立ち上がる。 いきなり立ち上がったせいで、椅子が後ろに音を立てて倒れこんだ。