「あと一週間だね」

そう言いながら俺の腕に自分の腕を絡ませて、覗き込むように俺の顔を見て嬉しそうに微笑む翔子。

「遅刻すんじゃねーぞ?」

そう言う俺の顔もきっと締まりの顔をしているだろう。

付き合ってまだ一年。

俺達は一週間後結婚する。

理由は一つ。

翔子のお腹に新しい命が宿ったからだ。

もちろん親には反対されるし、翔子の親父には殴られおばさんには泣かれ大変だった。

二人とも22歳という事で早すぎると言われた。

それでも二人で皆を説得して、翔子のお腹が大きくなる前に結婚式を挙げようとなったのだ。

「えっと、明日は一時にいつものところだっけ?」

鞄からスマホを取り出し操作する翔子。

「そっ。独身最後のデート」

「ふふっ。どこ行くのかは…」

「その日までのお楽しみ」

「はいはい。じゃあ、また明日ね?」

いつの間にか翔子の家に着き、俺達はそこで別れた。

数歩歩いたところで。

「じゅーん」

いつものように翔子が俺を呼び止める。

「ん?」

振り向くと、そこには綺麗に笑う翔子がいて。

「だーいすき!」

そう叫ぶ。

「ばーか。俺もだよ」

「明日ね!」

嬉しそうに笑って手を振る。

俺もそれに返してまた歩き出した。