こうして私は、
初めて友達と居酒屋に入った。
「飲み放題でいぃ〜?」
「そんなに飲めるかな…でも、うん。
安いし、いちおそれで…。」
巨峰サワーを頼む香澄。
私は唯一飲んだことのある
カシスウーロンを頼む。
「ね、香澄…私さ、先輩と別れようと思う。」
「え?同じバイト先だったって人?」
「うん…」
私には彼氏がいた。
同じバイト先だった1つ上の先輩。
先輩が卒業した後告白。
去年の8月に付き合うことになった。
先輩は卒業後、就職で地元を離れたから
遠距離恋愛だった。
「ふーん、なんで?」
「なんていうか…重いんだよね…
性格的にも合わないっていうか…
要するに冷めたんだけど。」
バイトが同じだった頃、
先輩は憧れだった。
見た目こそ地味なものの、
普段は表情を変えないのに
時おり見せる優しい笑顔。
他の女子からも推されていた。
そんな憧れの先輩と付き合えることになって
嬉しかったのは最初だけ。
理屈っぽさが目につき、
一途に思われてるのは嬉しかったものの
いつからか重荷になっていた。
