君を好きになっちゃったんだ。

俺の思いとは裏腹に、桜を傷つける言葉はスラスラと出てきて。




「意味わかんねぇよ。勝手に機嫌悪くなって、無視して。こっちの身にもなってみろよ。ずっと無表情で、ホントに人形みてぇ」




「……っ」




桜の泣きそうな顔を見て、ハッと我にかえる。




「ちがっ…今のは知らない間に口から出てて…」




今さら弁解したってもう遅い。




「…知らない間にってことは…それが本音ってことでしょ?いいよ。無理しなくても」




「っそういうわけじゃ…」




「ごめんね。人形で。…じゃあね。もうあたしのことはいいから…さようなら…」




桜の腕をつかもうと、手を伸ばす。




「…触らないで。…あたしは晴のこと、信じてたのにな…」




それだけ言い残して人ごみの中へ吸い込まれていった桜。




行き場を失った俺の手は、不自然に宙に浮いていて。




「超かっこ悪いじゃん。俺」




俺の言葉は夜空に吸い込まれていった。