今は学校。
昨日の件であまり動けない。
机の上でだるそうにしてます。
七海「休めば良かったじゃん」
一也「暇なんだよ」
七海「今日はやけに素直じゃん」
一也「ごめん。今あまり喋りたくない」
七海「わかったよ!無理しないでね」
なんだろ。そんなにだるくはないんだけど。
なんか精神的に傷ついた。
お母さん、ごめん。
やっぱり僕には合ってないわ。
はぁ、、
生徒「一也くん、大丈夫?」
ビクッ!!
びっくりして顔を上げてしまった。
あ、なんだ未来さんか、、、。
「未来」と書いて「みく」と読む。
この人も僕と同じで「みらい」ってよく間違えられるらしい。
僕ほどではないけど。
一也「あ、大丈夫だよ。わざわざありがとう」
未来「わざわざなんて。ねぇ今日放課後空いてる?」
一也「、、、放課後?」
未来「うん!話があるんだけど、、、」
一也「あ、うん。大丈夫だけど」
未来「ほんと?じゃあ屋上に来て!」
一也「うん、わかった」
未来「じゃあね!」
未来さんはそれなりに男子からの人気はある。
彼女を嫌う人はいない。
まぁ優しいからなぁ。
っていうかなんで屋上なんだろう。
告白されるのかな?
なわけないけど。
そしたら僕の視界に七海が入ってきた。
七海「今未来ちゃんと何話してたの?」
一也「ん?なんか放課後に話があるらしい」
七海「ふーん、、、」
一也「なんでよ?」
七海「別に何もないけど?」
一也「じゃあ聞くなよ」
七海「別にいいじゃん」
一也「でもなんで屋上なんだろ?」
七海「屋上なの!?」
一也「ね?そうなるだろ?」
七海「告白されるかもよ?」
一也「なわけないじゃん」
七海「わかんないよ?」
一也「僕1回も告白されたことないんだよ?」
七海「だから?」
一也「それにあんま未来さんと話さないし」
七海「そういうもんでしょ?」
一也「そういうもんなの?」
七海「恋してたらあんま話せないもんだよ?」
一也「へぇ。ますますわかんなくなってきた」
七海「、、何が?」
一也「え?あ、いや」
危ない。女子を勉強してることがバレるところだった、、、。
七海「まぁ私は話せるけど」
一也「え?」
七海「え?私なんか今言った?」
一也「うん。言った」
七海「何て?」
一也「私は話せるだがなんだが」
七海「気のせいだよ?」
一也「気のせいじゃないよ」
七海「気のせい」
一也「気のせいじゃないって」
七海「もう別にいいじゃん!」
一也「そうですね」
ますますわからなくなってきた。
女子って生き物は本当に難しい。
見事に謎に包まれた奴らだな。
何となく面倒くさい気もする。
男は単純で分かりやすいからまだマシだ。
まぁ、上手く付き合っていかなきゃいけないんだろうけど。
あれ?だいぶ調子良くなってきた。
…………………………………………………
放課後、約束どおり屋上に行く。
着くと、そこにはもう未来さんは居た。
一也「未来さん、どうしたの?」
未来さんは僕に気づいて、結構肩が上がってビクビクしてた。
未来「あ、一也くん!随分早かったね」
一也「だって未来さんが呼ぶから」
未来「私が呼んだらすぐ来てくれるんだぁ、嬉しいな、、、」
ん?どうした?
一也「、、え?」
未来さんは今までに見たことないような微笑みで僕を見る。
ここから何となく雰囲気がおかしかった。
一也「未来さん?」
未来「一也くん?私のことどう思う?」
一也「、、、え?」
いきなりそんなこと聞いてどうするんだ。
これから何が起こるんだよ。
未来「私のこと、どう思う?」
どう思うって言われても、、。
一也「優しくて、頼りやすくて、友達思いだと思うよ?」
未来「そうか、、、そんなこと思ってたんだぁ」
なんだか複雑な顔をする未来さん。
空気が悪い。早く帰りたいな。
一也「未来さん、話って」
未来「一也くん」
一也「、、、ん?」
未来「私は一也くんのこと、ずっと頭から離れないの」
一也「へ?頭から離れない?」
未来「うん。一也くんを見ると胸が苦しくて、一也くんが笑うと私も嬉しくなって、気がついたら一也くんを見てるの」
一也「、、、え?」
僕はずっと未来さんに見られてる?
僕が笑うと未来さんも笑う。
僕を見ると胸が苦しくなる。
胸が苦しくなる、、、。
一也「それって、、、」
未来「うん。私、一也くんのこと好きなの」
結局告白されるのかい、、。
、、、マジですか。
人生初。告白された。
なんだか頭が真っ白になった。
でも僕の気持ちは決まっている。
一也「ごめん」
未来「、、、え?」
一也「僕、未来さんと付き合えない」
未来「、、なんで?」
一也「僕は未来さんのこと好きじゃない」
未来「これから好きになってもらえればいい」
一也「それでも付き合えない」
未来「嘘でしょ?」
一也「嘘じゃない。ごめん、、、」
何となく申し訳ないと思った。
ここで人生が薔薇色に変わるかもしれないというのに。
でも彼女には魅力が感じなかった。
とゆうか、元から好きじゃない。
好きじゃない人とは付き合っちゃいけない。
自分に嘘ついてるようで後悔するし、相手にも失礼だってお母さんが言っていた。
ごめん。ごめんなさい。
心の中で何度も言った。
一也「ごめんけど、もう帰るね」
その時だった。
未来「あんなヤリマンのどこがいいの!?」
僕はびっくりして振り返った。
未来さんの顔は未来さんの顔じゃない。
その時の未来さんは未来さんじゃなかった。
人間が変わっていたのだ。
人間には必ず黒い部分がある。
それは心優しい人でもある。
でも白いところしか見えてなかった人が、その人の黒いところを初めて見た時のショックは大きい。
それが今の状態。
未来さんはそんなこと言わないと思ってた。
どんな言葉を返しても受け入れてくれると思った。
逆にわかってなかった僕もバカだ。
人間とは、醜い生き物だ。
一也「僕はあいつのこと好きじゃないよ?それにヤリマンじゃないし。ただの幼なじみだよ」
僕は正しいことをそのまま言っただけだ。
一也「でも、幼なじみの悪口を言う人は許そうとは思わない」
それだけを言って僕はこの空気から出ていく。
僕はそのまま朝来た道をまた今日も帰っていく。
帰っている途中にある本屋が見えた。
なんか変な気分。
僕これからどうなるんだろう?
はぁ~。もうマジなんなんだよ。
僕はその本屋に入ることにした。
初めてだったから少し緊張した。
あまり大きい本屋ではない。
一軒家くらいの大きさかな?
中に入るとクーラーが効いてて、冷汗がスースーとして気持ちいい。
なんとなく癒される場所だ。
何かあったときはここに来ることにしよう。
本を眺めるとしようかな。
狭いわりには、いろんなジャンルの本が置かれている。
文庫本や漫画、絵本や携帯小説。
ここじゃ飽きないかも。
家から6分くらい歩けばあるし、ここは便利だ。
癒されるのにはとっておきの場所だ。
興味深々になりすぎてグルグル見回ってる時かな?
ある人とぶつかった。
ある人「わっ!」
バタンボトボトン
店員さんだった。
大量の本を運んでいたらしい。
一也「あ!ごめんなさい!大丈夫ですか?」
僕は急いで本を拾った。
店員「あ、ごめんなさい!」
店員も急いで本を拾う。
するとなぜか手を止める。
店員「切れてます」
一也「へ?」
その時に顔を上げて店員を見ると目が合った。
一瞬、僕の頭は一時停止した。
その店員は女性だった。
なんだか、、、。
なんて言ったらいいかわかんないけど。
胸がドキドキしてる。
幼いような顔をして大人っぽい感じで、多分僕の好みと一緒。
髪の色は黒で、横に一つにして結んでる。
肌は日焼けしてないくらいの白さ。
目はパチクリまではいかないけど、
結構大きくて潤ってた。
メイクもそんな濃くなく、ナチュラルな感じだった。
前髪は短くて眉毛が隠れるくらい。
きっと笑ったら素敵だった。
多分今僕は、「一目惚れ」したと思います。


ここからがこの物語の始まり。
僕の暇人の生活はここで変化した。
それはほんの一瞬の出来事だった、、。