「お兄さん達、認めてくれたかなぁ?」


帰り道、街灯に灯った明かりを見つめながら呟く。


「うん、たぶん、大丈夫」

「そっかぁ
式、いつがいいかな」

「…そうだね」

「音羽」


俺が呼び止めると、一歩先で止まった音羽がゆっくりと振り返った。


「俺が里田さんが好きだったことも、里田さんにやったことも変えられない事実だけど」


ここで言葉を止めて音羽の少し不安そうな目を見つめる。


「俺が今こうやって音羽のことが大好きで大切で、愛してるって気持ちもちゃんと、変えられない事実だからね」


言い終わると同時に、音羽を抱きしめた。


「…ばっかじゃないの」


少し震えていた声に視線を落とすと、隙間から見える耳が真っ赤に染まっていて、思わず笑ってしまった。


「…なによ」

「なにも」


あぁ本当に、こんなにも好きになってしまったんだなぁ。


「好きだよ」

「………知ってる」

「うん」