「和咲は?」

「えっ?」

「和咲には好きな人いないの?」


唯はそう言って首を傾げる。

好きな、人...?

うーん...好きな人かぁ...。
正直、あんまり考えたこと無いな。


「いない、かなぁ」

「えー、もったいないよ?和咲ならきっと上手くいくのにー...」


私?
いや、多分無理だと思うなぁ。

だって、唯みたいに可愛くなれないし。
身長も160cm以上あるし、感情を素直に出せないことも多い。

あと、なんか取っ付きにくいと思うんだよね。
中学の頃も、「時森さんってクールで話しかけにくいかも」とクラスメートが言ってたのを聞いたことがある。

自分ではクールにしてるつもりなんか無いけど、やっぱり話しかけにくいんだろうな、と。


「和咲って大人っぽいし、綺麗だし、サラサラな黒髪も羨ましいし...」


唯はキラキラした目で私を見る。
茶髪でボブの、動く度にふわふわ揺れる唯の髪の方が、私は羨ましいな。