「っだ、だから……キスするの?」 「 もう、黙ってろ」 そう言って、水野くんはさっきよりも足早に、駅へと向かうあしを進めた。 「ま、まってよ水野くん…!」 いつものわたしだったら、このままうまいことはぐらかされていた。 だけど今日は、今日だけはきちんと確かめないと。 はじめての、キスで…。はじめての、感情。なにがどうとか、正解とか、ぜんぜんわからないけれど わたしの呼びかけに振り返った彼に、ひとつ深く息を吸う。そして、おおきく息を吐く。