昭和十八年。 夏。 優子は永遠に続いているのかとも思えるほどの長い階段を二段とばしで駆け上がった。 セミの声が忙しく響く。 夏の日差しを受けながら、倒れるようにして前へ進んだ。 長い道のりをもどかしく感じながら、一歩一歩、確実に歩を進める。 上りきった優子の瞳に写ったのは、周りを木々に囲まれた古い神社。 感覚のない足で鳥居をくぐり、森のなかへと入っていく。 見慣れた桜の木の下にある人影を見て、優子は叫んだ。 「たっちゃん!」