くいっ 「泣くなよ…。」 その人は私の頬を親指でなぞった。 「あ…すみません…。」 私はぱっと下を向いて目をこすった。 「あの…ほんとに… …あれっ?」 私の目の前には誰もいなかった。 「櫻子~!探したよ!」 「…結衣。私…」 「今の人だれ~?!めっちゃイケメンだったねー。」 あ…名前聞いてない。 「知り合い?」 「いや…知らない。」