「騰蛇」
部屋のベットに腰掛けながら名前を呼んだ。
「なんだよ」
騰蛇も鬱陶しそうにだけど、返事をしてくれる。
「名前、どうしたい? 」
「名前? 」
そう、私に残された大事な仕事は騰蛇に名前を授けること。
陰陽道の中では名前は1番短い呪で、その人をあらわす鏡になる。
言霊って言われることもある、とても強い願いを込めて生み出される呪。
それが名前。
「騰蛇はどうしたい? 」
「俺ぁどっちでもいいぜ。ただ俺に名前をくれたのは晴明だけだな、今のところ」
「そっかぁ」
騰蛇って、ちょっと怖いイメージの名前だよね。
もちろんかっこいいんだけど。
でも、せっかくだから私だからあげられる名前をあげたい。
力強い紅い地獄の業火を纏う、騰蛇。
それでいて寂しがりや。
そんな騰蛇を的確に表すのは、「騰蛇」って名前じゃないよ、やっぱり。
しばらく目を閉じた。
彼を表すのにふさわしい、言葉を探す。
見つけた名前は、絶対彼に似合うと思った。

