どうやったらこの状態から逃げられるのかパニックの脳内で一生懸命模索していると、郡司君が腰を曲げて自分の顔を私の顔の真正面まで持ってきた。


「そーんなバリアゆるゆるモードだと、オオカミに食われちまうからな?可哀想な子羊ちゃんにならない様に、精々頑張れよ」


子羊ちゃんと言われる事は、ミハル相手に慣れている。


だけどこの整った顔を近づけられる事と、ドS発言を向けられる事はどうしても慣れない。


「余、余計なお世話です!!」


――――バン!


逃走するしか手段の無い私がドアを叩き閉めた音が、Espoirに響いた。