ふと目を覚ませば、ベッドの中、すぐ横には寝息を立てている倉木君がいた。
時刻は夜の8時。
慌てて飛び起きれば、タオルケットで隠れていた何も身につけていない素肌が露わになって、ますます慌てた。
ほんの数時間前の出来事を思い出して、思わず赤面する。
カフェを出て、まっすぐにやってきたのは私のアパートで。
家に入るなり、強引にキスをされて、ベッドに押し倒された。
倉木君も初めてなはずなのに。
その手には少しも迷いがなくて。
呆然として抵抗する間もなく、下着まで全て剥がされた。
突然のことに驚いて、決して嫌な訳ではないのに涙がこぼれた。
それに気が付いた彼が、私の涙を優しく手で掬う。
「ごめん、そんな顔させて。でも、もう待てない。」
苦しそうに眉を寄せる彼を見て、私は、ただただ彼をその苦しみから解放してあげたかった。
「…ううん、いいよ。倉木君なら、もう何でも。」
「そんなこと言われたら、ヤバイって。」
不安な気持ちも、心臓が破裂しそうなくらいの緊張も。
すべて彼の優しい手と唇によって、取り払われていった。
そして、私は想像していたより、ずっと穏やかな気持ちで、彼を受け入れた。
初めての経験は恥ずかしくて、痛くて、苦しくて、熱くて、へんな感覚がして、途中から頭の中がぐちゃぐちゃだった。
「瑠衣…瑠衣っ…」
名前を呼びながら、熱心に私を求めてくる倉木君は、ちゃんと男の人の目をしていて。
野球をしている時はもちろん、普段も決して見せないような甘く切ない視線に、私は知らない間に溺れていたのだ。



